ミュンヘンオリンピック

ミーナの行進は、1972年のことを描いています。
だから、登場人物とともに、その当時のできごとも時折顔を覗かせます。
新幹線が大阪から岡山に延びたこと、芥川龍之介の自殺やミュンヘンオリンピックのことなど・・・。

私が切なくなった場面は、

ミュンヘンオリンピックで、日本男子バレーボールチームが金メダルをとった。
そのときのセッターが猫田選手。
マッチポイントで、人差し指を立てながら、「あと一本、あと一本」とみんなに声をかけた。

その後1983年に猫田さんは胃がんのため死去。
なくなる直前にも「あと一本、あと一本」とうわごとのように繰り返していたということです。」(ミーナの行進)

コートに戻りたかったと新聞の訃報では記していましが、ほんとうにバレーボールがすきでたまらなかったのでしょうね。それとともに、臨終の際には、走馬灯のように今までの記憶が流れるとよくいいますよね。だから、猫田さんの人生の中でもっとも輝かしかったミュンヘンのマッチポイントの風景を思い出しておられたのかもしれませんね。

この物語の主人公ミーナがセッターの猫田さんのファンであったこともとっても胸にせまってきました。

この少女小説、忘れられないものになりそうです。

ミーナの行進

ミーナの行進