夕方ファミレスで原稿をチェックしていたときのこと。試験勉強をしている女子高生がいた。資格試験の勉強をする大人はよく見かけていたが、学校帰りに、ファミレスで一人勉強する女子高生を見かけたのは初めてだった。仲良しグループや2人組で行動するイメージが強い女子高生たちだが、最近は様変わりしてきているらしい。

「私も試験前には、よくファミレスに籠もります」と言うのは、都内の高校に通うアサミさん(17歳)。「学校帰りに、友だちと一緒にファミレスやミスドで勉強することもあります。でも、一人ですることが多いです。家だといろいろ目についちゃって、集中できないでしょう。ファミレスだと教科書とノート以外には何も無いから、意外と集中できるんですよね」(アサミさん)。

アサミさんは、試験が終わると「自分へのごほうび」としてスタバによるのだとか。「スタバは、値段が高めだから、自分のお財布に余裕があれば行くし、余裕がなければ行かないし、友だちと一緒に行くことは、ほとんどありません。なんていうか、一人でスタバに行くっていうのが、カッコイイんです」(アサミさん)。なるほど!

埼玉県内の高校に通うサオリさん(17歳)は、時々「一人カラオケ」に行く。

「友だちと一緒に行くこともあるけど、ストレスが溜まっているときは、一人で大声で歌いたくなるんです。でも、珍しいことじゃないですよ。私の周りにも『一人カラオケ』好きは結構います」(サオリさん)。一人では行きにくいカラオケ店もあるので、一人で行くか友達と行くかで、お店を使い分けているとのこと。

「一人ディズニーランドが好き」という女子高生もいる。アサミさんと同じ高校に通うユキノさん(17歳)は、友だちとの待ち合わせの2時間前に入場し、予め自分が好きなアトラクションを楽しんでおく。「アリスのコーヒーカップとかピーターパンやピノキオのアトラクションが好きなんです。でも、友だちと一緒だと、こういうアトラクションは却下されちゃうでしょう。だから一人で先に乗っておくんです」(ユキノさん)。

決められたお小遣いで遣り繰りしているユキノさん。一人で好きなときにディズニーランドに行くほどの余裕はないが、限られた時間の中で「一人行動」を楽しむ姿に、今ドキの高校生の「精神的なたくましさ」を感じた。ちなみに、ユキノさんの「一人ディズニーランド」を友だちは「カッコイイ!」とプラス評価をしているそうだ。

「一人行動」への憧れは、女子中学生にも根強い。中学3年生のアイさんは、「一人ショッピングモール」がお気に入り。月に1〜2回、近くのショッピングモールに行くそうだ。「好きなキャラクターのお店を見たり、洋服を見たりするのが楽しいです。友だちと一緒に行くのも好きだけど、一人で行くのも好き。好きなお店をどれだけ見ていても誰にも何も言われないから気楽です」(アイさん)。アイさんも頼もしいが、そんなアイさんの行動をプラス評価で見ている友人が多いことにも頼もしさを感じる。

また、女子中学生たちに「映画は誰と見にいくの?」という質問をすると、ほとんどの女の子が「友だちと行くことが多いけれど、本当に見たい映画は一人で観たいよね」と答えたことにも驚いた。今のところ「一人映画」を実践している子はいなかったが、いずれ、本当に見たい映画を一人で観るときがくるだろう。

もちろん、昔も「一人行動」が好きな中高生はいたし、今も一人が苦手な女子中高生は少なくない。しかし、ここ1〜2年の間に女子中高生たちの「一人行動」への抵抗感は随分変化してきているように思う。「一人で行動する=寂しそう」から「一人で行動する=カッコイイ」へ変わりつつあるのだ。

20代〜30代女子の皆さん。一人でランチをしたり買い物をしたり、映画を見たりというとき、「私って、寂しい人に見られているかも」などという心配は無用。大切なのは、堂々と行動することだ。そんな「大人の女性」を女子中高生は憧れの眼差しで見ているのだから。(オフィスエムツー/神田はるひ)