明川哲也さんの・・・

「信念」は会社には通用しない?会社の同僚が、パワハラを受けた末に自主退社をしました。

また、その事実を知った別の社員までもが、退職願を出しました。

私は状況改善を求めて会社に直訴をしましたが、未だに何も動きがありません。

信念を持って状況を打破しようと試みましたが、やはり会社という組織の前には無力なのでしょうか。

もはや自分の信念を貫くことすら、正しいことなのか自信が持てません……。
四国・企画/制作職・32歳・男性

あなたの「信念」が通じにくい理由ボク自身、熱くなりがちな性格なくせに、こんなことを言うのもなんですが、会社って、社員一人ひとりの感情に対してはなかなか反応してくれないものだと思います。きれいな言葉を並べたてた会社はたくさんありますが、どこも基本は利潤追求です。これは会社の絶対的な原理です。

ですから、利潤追求の回路が一度出来上がってしまえば、その回路を維持することが会社の鉄則になります。社員は大事。でも、そのいちいちの感情でメンバーを変えているようでは、会社そのものの存在が危うくなります。会社が欲しいのは、正義感に満ちた社員ではなく、確実に稼ぐ社員の方なのです。あなたが2度も書いている信念という言葉は、生き方についてでしょうか。それ、わからないわけではないですが、会社にとってより必要な信念は、稼ぐことに関する決意の方でしょう。
「対峙の仕方」の問題ですとはいえ、会社もまた人間の集団です。利潤追求の回路が成立していても、社員の気持ちが揃わなければ根元から崩れていくこともあり得ます。だからもちろん、社員がやめたり、あなたが直訴したことは上層部ではすでに問題になっているはずです。しかし回路を動かすまでには至らなかった。

喧嘩にはやり方があるんですね。会社の喧嘩の仕方はズバリ、「この上司がこういうことを続けていると、会社にこれだけの損害をもたらす」という具体的な損得勘定表です。やめてしまった社員の功績、あなたたちの士気の低下、それをすべて具体的な金額で弾き出す。そしてトップに突きつける。このぐらいの喧嘩の仕方をしないと利潤追求団体である会社は動きません。

これはクビをかけた闘いになりますが、だからといって青ざめるのは禁物です。謀反者全員の討ち死にを避けるためには、清濁(せいだく)併せもった笑顔で闘いに対処すること。精神的な余裕を感じさせることで、あなたの味方も増えていくことでしょう。