励まそう

仕事だけでなく知り合いや親しい人が落ち込んでいると、どんな言葉をかけたらいいのかと慎重に考えてしまいます。そこで今回は、落ち込んでいる相手を楽にする励まし方を紹介します。

■何よりまず相手の気持ちを考える

 相手を励ます前に、落ち込んでいる気持ちをわかってあげることが先決。慰めるという言葉は合わないかもしれませんが、どんな気持ちでいるのかを察することができないと先に進めません。相手に呼吸を合わせてみると次第に感じてきます。同じ目線で見て感じてあげることです。

 相手の気持ちを理解することは「その気持ち、わかる、わかる」ということではなく、「あなたがとても落ち込んでいることを私は十分にわかっている」という意味で共感することが大切です。中途半端に「その気持ちわかる」といってしまうのは危険。相手にとっては「そんなにすぐ他人にわかるものではない!」と思うからです。落ち込んでいる原因ではなく、相手の気持ち自体を考えましょう。

■「強がりタイプ」「自虐的タイプ」の特徴と励まし方

 大きく分けると「強がりタイプ」と「自虐的タイプ」になります。相手にかける言葉は、タイプによっても変わってきます。誰しも気持ちがなえてしまっているときは、「誰もわかってくれない」と懐疑的な考えになってしまいがち。自尊心を傷つけないように気をつけましょう。どんなタイプの人だとしてもあなたを信頼して話をしてきたので、きちんと相手と向き合ってあげてください。 <強がりタイプ>
・強がりタイプの特徴
 他人には落ち込んでいる姿を見せたくないと思っている人です。しかし何となくいつもと違うということは、親しい人には気づかれていたりします。このタイプはプライドが高い人が多いので、声をかけるタイミングや言葉に十分に注意をしましょう。強がっている分、内面はナイーブな人だったりします。きっと自分の気持ちに気づいてほしいと思っているけれど、自分からはなかなか言えないという人。このタイプは結構多いかもしれませんね。

・強がりタイプへの励まし方
 日頃からあまり弱みを見せたがらないタイプの人には「大丈夫?」という言葉はやめましょう。このタイプは態度では「たいしたことはない」と見せがちですが、内面とても不安だったりどうしようと心配を抱えていたりします。「自分ひとりで解決できるんじゃないの」と思わず、その気持ちを察してあげましょう。

 「大変じゃない?」と言うと「まあね」「そうでもない」と言ってくるでしょうが、しばらく付き合って話を聞くようにしましょう。「そうか、じゃあいいけど!」と早く結論付けずに「そうか、それならいいけどね……」と相手の話を促すように話してあげましょう。うだうだ話す感じですが、そうしているうちに、あなただけには本音を言ってくれる可能性があります。

 「わかってくれない人もいるかもしれないけど、僕は(私は)頑張っているな、と思っていたよ」と、素直に言葉にできないことを察してあげてください。 <自虐的タイプ>
・自虐的タイプの特徴
 自分の評価を必要以上に低く考えてしまう人。「どうせ……」「私なんか、僕なんか」という言葉で自分は駄目なんだと自分自身で低い評価をしてしまいがちです。このタイプの人には、きちんと良いところを伝えることが大切。具体的なポイントを挙げることを喜びます。

・自虐的タイプへの励まし方
 とにかく自分は駄目だから……と常に低い評価を自分に与えてしまうタイプには、相手の良い点を伝えます。注意点としては、具体的なエピソードを交えること。どんなときにどんな風にしていた、とそのときを思い出せるように話していきましょう。抽象的な意見に聞こえると相手が納得しません。「例えばあのとき、○○○○と処理をしていたのを見てすごいな〜と思ったんだ」「だって、僕だったら(私だったら)とてもできないな〜と感心したんだ」などと、具体的に話してみてください。

 本当に信頼している人からの意見であれば、少し見方を変えることができるかもしれません。「何気なくやってしまっていること、難なくこなしていることが、とても評価されるものなのだ」ということをわかってもらえるように言葉をかけましょう。

 親しい友人が落ち込んでいるかな、と思っていても相手が相談してこない場合はそっとしておいた方がいい場合もあります。それでも心配ならば一緒にいる時間を多くしてみましょう。そうしているうちに、ふと口を開いてくれるかもしれません。気持ちに寄り添うことこそ大切なことで、相手を思いやる気持ちがこもった言葉ならば、きっと相手を励ます言葉になるはずです。

【話す技術・伝える技術ガイド:立川亜美】