就職氷河期世代」現30代キャリアのストレスとは?

 30代は、仕事も私生活も共に最も忙しい時期です。しかし、20代の頃と違ってひたすらに自分のキャリアや可能性にチャレンジできる時期ではありません。

 既婚者は家族との生活の都合によって、自分自身の夢や目標を諦めなければいけないことも多いでしょう。また、「人生の正午」とも言える「折り返し地点」が目前に迫り、やってくる「老い」とどう向き合っていくのか、じっくり考えなければならない時期でもあります。

 2009年現在、30代を生きている人の多くは、いわゆる「就職氷河期世代」の人たちです。日本経済がどん底にあった頃に就職したこの世代は、能力や活気があっても就職先が見つからずに苦労しました。やっと就職した会社でも、景気が悪いことから雇用が不安定で、頑張っても成果を実感しにくく「働きがい」を見いだせない不遇の時代が長く続きました。

■ストレスケアまで頑張りすぎていませんか?

 そんななか、根気よく就職難を乗り越えてきた人は、本当に頑張り屋さんです。特に、この世代のバリキャリ女性の根性は相当なものです。睡眠時間を削っても長時間残業をこなし、人材不足によって若い頃から現場リーダーを任されても、頑張ってこなしてしまいます。

 ただ、困ったことはその「ガンバリズム」を、自らのストレスケアにも適用しがちな面があることです。

 たとえば、無駄な時間を過ごすことができず、終業後や休日にもたくさんの予定を入れてしまいます。そして、エステ、マッサージ、癒し系スポット、旅行など数々の癒し系サービスを「消費」することで、手軽に癒しを得ようとします。しかし、本当の癒しとは、その人の「生き方」や「働きかけ」が作用してもたらされるもの。消費による癒しでは、その日の疲れは取れたような気がしても、心の奥が感じている慢性的な疲労感は解消できないのです。

 では、働く30代(主に女性)は、どのようなストレス・ケアを目指すべきなのでしょうか?

■働く30代女性は根本的なストレスケアを見直すべし

 働く30代は、他の世代と少し視点を変えて、ストレスケアに取り組まなければなりません。その主眼はこれ以上頑張りすぎずに、今の「心の叫び」によく耳を傾けること。目の前のストレス発散を考えるより、もっと視野を拡げて根本的なストレス・ケアに取り組むことが大事です。たとえば、次のようなポイントを参考にしてみましょう。

・「ノン・アクティブな日」を設けて、「心の叫び」を聞く
 心に漠然とした不安を抱えていると、それを忘れるため、やみくもに日常を忙しくしすぎてしまいがちです。今、自分の心は疲れて悲鳴をあげているかもしれません。「何かが違う」「このままではいけない」と感じているのかもしれません。その「心の叫び」を捕えるためにも、月に1度は「ノン・アクティブな日」を作ってみましょう。

 癒し系スポット訪問だけでなく、ジム通い、スクール、買い物、友人とのランチなどを一切やめて、一人で家で1日ゆっくり過ごすことです。その際には、「情報断食」をし、テレビやDVD、インターネットなどの「雑音」を一切断つことが大切です。

 たとえば、部屋の片付けや掃除をしながら静かに1日を過ごし、ムクムクと頭に浮かんでくる「考え」を捕えてみましょう。そこに、自分が今一番考えなければいけない課題が潜んでいる可能性があります。

・「心の叫び」をじっくり話せる場所を探す
 「心の叫び」に気付くようになったら、一度カウンセリングを受けてみるとよいでしょう。親しい友達やきょうだい、両親に話してみてもよいですが、話の聞き方が下手な相手だと逆効果です。カウンセラーやセラピストは、クライアントの今の姿をまるごと受け入れ、共感的に傾聴する点で、一般の人の話の聞き方とは異なっています。

 ただし、相性のよいカウンセラーを選ぶことが大事。「この人に話しても、なんだかしっくりしない」「言いたいことが湧きだしてこない」と感じるカウンセリングは、続けない方がいいでしょう。カウンセリングで最も大切なのは、「信頼の形成」だからです。

 さらに、カウンセリングの目的は、第1に、心に溜まった澱を吐き出し、自分の日常では気付かなかった思いに気付くこと。第2に、今の状況から次のステップに移行する目標設定ができること。第3に、その目標を達成するための心理的なサポートを得ることにあります。

 カウンセリングの種類や手法は数ありますが、まずは直感で「ピン」と来た人の扉を叩いてみるとよいでしょう。ただし、話しにくく、なんとなくしっくりしない場合は、続ける必要はありません。

■「生活」を無視してストレスケアは成り立たない

 対外的な活動である「仕事」のストレスを癒すのは、私的な活動の場である「暮らし」の役目です。つまり「暮らし」の部分にもっと目を向け、日々の生活を充実させていくことこそ、仕事のストレス解消につながるのです。そもそも、仕事一辺倒の生活が「暮らし」を常に圧迫している場合、働き方そのものを考え直した方がいいかもしれません。

・1日中いても、居心地の良い環境になっていますか?
・自分が本当に好きなもの、見ていて癒されるものに囲まれて暮らしてしますか?
・捨てるべきものを捨て、すっきりした暮らしになっていますか?
・大好きな家族や友だちと触れ合っていますか?
・季節感のある暮らしができていますか?

 以上の点を見直し、もっと「暮らし」の部分を充実させることで、自分自身のクオリティ・オブ・ライフを包括的に高めていきましょう。

■生活も「新陳代謝」をよくすることが大事

 忙しすぎる働く30代は、私生活が「履き溜め」のようになっていることが少なくありません。そのため、人を招くこともできない住まい、足の踏み場もない部屋になっている人も多いものです。

 仕事では対外的な接触が多いため、私生活では「貝」のようになりたいと思う気持ちも分かります。しかし、本来人生をより良く感じるために必要なのは、私生活の充実があってこそ。私生活こそたくさんの人と関わり、常に心地よさを求めて変化させていく必要があります。

 そのために必要なのは、日頃の暮らしをもっとオープンにすること。休日には人を招いて会食やお茶をし、その話題から着想を得て、ますます生活に新しいエッセンスを取り入れようとする心がけです。

 「貝」のように扉を閉じたままでは、今の状況のまま何も変わりません。ぜひ、重い扉を開けて生活の「新陳代謝」をよくしてみましょう。